「教育再生」詐欺 [教育はだれのもの]
「オレオレ詐欺」や悪徳商法の被害者たちから冷静な判断力を奪い、誤った選択をさせてしまうテクニックとして、猶予を与えずその場での選択を迫る、というものがある。この「教育再生会議」という名前の集団がやろうとしているのもこれと同じではないか。
教育再生会議2次報告 年度内に指導要領改定 徳育を新設/土曜授業---北海道新聞
政府の教育再生会議(野依良治座長)は一日、首相官邸で総会を開き、第二次報告を決定し、安倍晋三首相に提出した。第一次報告で打ち出した授業時間10%増に向け、土曜日の授業を可能とし、道徳教育「徳育」を「新たな教科」とするために二〇〇七年度中に学習指導要領を改定するなど、緊急性の高い「四つの対応」を柱とした。学力と規範意識の向上を教育再生の柱に掲げる首相の意向を強く反映した内容となっている。
緊急性の高い「四つの対応」と言うが、その「緊急性」は誰が判断したのか、その信頼性は誰が担保しているのか?ノーベル賞か、ワタミか、ヤンキーか?「二〇〇七年度中に学習指導要領を改定」というが、本来学習指導要領はそんなに簡単に改定していいものではないはずだ。思いつきを口にするのは3秒あればできるかもしれないが、その実現可能性を慎重に検討するには相当長い時間を要するのは自明の理だ。それを「二〇〇七年度中」と限定するのは検討を最初から拒否しているとしか思えない。それどころか、まともな判断力を失わせようとしているとすら思える。
もちろん教育再生会議の提言には法的拘束力などないのだから、そのままであればどれだけ居酒屋談義を繰り広げても構わないわけだが、問題は安倍首相が「四つの対応に早急に着手するよう伊吹文明文部科学相に指示した」こと。文科相はそれなりの見識を持っていそうだが、しょせんは安倍晋三の「お仲間」の一人であるからどこまでブレーキになるかはわからない。このまま実行に移されてしまっては、虎の子を詐欺犯に振り込んでしまう以上に取り返しがつかないことになる。
たとえば今回の提言の目玉のひとつである「土曜授業」であるが「現行制度の範囲内」とする文科省幹部の判断には甘さが見られる。たとえば「不定期に土曜授業を行う場合は、授業参観や運動会などと同じ扱い。教員は前後十二週間で代休を取れば、勤務時間の制約を解決できる」(北海道新聞6月2日付朝刊)とあるが、そんなことは実際には不可能だ。なぜなら、授業参観や運動会の場合は、平日をまるまる振替休業日としているはずだが、土曜日に授業をした分平日を休みにしては何のための土曜授業だか分からない。交代で代休を取ろうにも、ほぼ全職員が取れるようにするにはあちこちにしわ寄せが行くことは必定だ。また、代休の場合、児童・生徒はいつも通り授業を受けているので本来とは違う先生が代講できればまだいい方で、最悪自習となる。土曜日に無理をして授業をして増やした分だけ自習が増えるのではますます本末転倒だろう。
ネットで検索をしてみる限りでは、教育再生会議と関わりが深いといわれる産経新聞を除いて、各新聞の論調は今回の提言に対し懐疑的または批判的なものがほとんどである。これを機に、教育再生会議の妄言をそのまま政策化させないような世論を確立することが重要だ。








結局、安倍首相のねらいは次の二つなのでしょう。
まず、国民の関心が高く、しかもほとんど金(予算)をかけずに、「成果(何が成果なのかという問題はありますが)」を強調できるので、参院選向けのアピール(いわゆる実績)になる。
第二に、「不的確教員排除」を強調することで、いわゆる「日教組」に打撃を与えることでしょう。勝共連合の色合いの強い安倍首相のことですから、政敵を葬る意味合いがあるのでしょう。
現場の意見を最初から聞く気がないので、再生会議のメンバーはああいう方々なのでしょうね。
しかし、「規範意識」を言うのなら、己の閣僚に規範意識を持たせなさいといいたいですね。
by (2007-06-05 02:45)
NTHAWKSさま、いつもコメントありがとうございます。
安倍首相は戦前の日本復活をたくらむ「怪人」ですから、彼が望むことを実現しようとすればあちこちで無理が生じるのは当然。でも、情けないのはそういう内幕をマスメディアはほとんど報じないこと。よっぽど怖いんでしょうね。
まあ、マスメディア自身が学校や教師に恨みを持つ人々のルサンチマン(教師が支配者であるという意味では必ずしもないですが)をあおるような記事を書いてきたことによる下地があったからこそ、このような性急な「教育改革」が受け入れられてしまうわけで、「共犯」関係にあるとも言えるわけですが。
by ぱらいそ (2007-06-05 18:47)